2012年12月16日

独裁者になりきれなかった作家は駄作を作る

「ルル・オン・ザ・ブリッジ」は、小説家のポール・オースターが
初監督した文芸作品である。

小説ではいつも魔法のような手際を見せてくれるオースターだが、映画
の世界ではそうはいかなかったようだ。

美術から脚本から、ほとんどが無難にまとまりすぎており、夢オチと
言われて怒りすら覚える。

もともと夢のような作風を得意とする人物だけに、そのようなありがち
な印象を観客に与えるような愚は冒さないと思っていたところが、
このとおりである。

もともとこの企画はヴィム・ヴェンダースが監督を担当する予定だった
というから、その場合というのも見てみかった気はする。

ここは映画のコンテクストなど全部忘れて独善的にいつものオースター
節を貫いたほうがよかったような気がする。
posted by ヒロシッペサンタ at 16:37 | 独裁者になりきれなかった作家は駄作を作る