2014年06月05日

学校に行っていた長女と次女、そして実家にいた息子。甥っ子である息子と
一緒にいた妹は地震発生時キッチンにいた。グラグラと揺れ、次第に大きく
なった。食器棚の扉が開き、中から食器が落ちてきた。逃げようにも動けな
い。息子を抱きかかえ揺れる中トイレに逃げ込んだらしい。大きな地震は落
ち着いたものの、余震が続いていた。息子を抱きしめながら妹はずっとトイ
レにいたのだ。4本の柱で支えられているからここなら安心、そう思ったの
だとか。

数分が経過し玄関のドアの開く音がした。やって来たのは旦那だっ
た。みんないる?そう言う旦那の声を聞 き安心した妹。息子とともにトイレ
から脱出し旦那と合流したのだ。我が息子の顔を見て安心した旦那、娘たち
は?妹にそう聞いた。まだ学校から帰って来てない、そう妹が言うとちょっ
と行って来る!!

旦那は妹に部屋にいるように指示し、娘たちの元へと向かった。妹は息子とともに
自分の部屋に行き、いつでも外に出られる準備をした。しばらくして娘たちと一緒に旦那が帰って来た。

学校へ向かう途中、次女を見つけた旦那。実家まで送り再び学校へ。学校では長女や
他の生徒が校庭で並んで座っていたらしい。長女は旦那の顔を見て、嬉しそうに『パパ!
!』と叫んだ。泣き出す友達 をなだめ、本当は自分も不安だっただろうにそ
れを必死に隠していたのだ。

父親である旦那の顔を見て、彼女もまたヒーローと感じたようだ。旦那と一緒に実家へと向かい、
ほぼ同時に母さんも帰宅。みんなが揃ったのを確認し、割れた食器を片付けた後に仕事場となるパチンコ屋へと行った旦那。
子供も妹も口々にヒーローだと言っていた。

私は見る事が出来なかったが、いざという時に頼りになる事がわかっただけでも
良かった。
posted by ヒロシッペサンタ at 13:49 | 地震

2014年04月06日

いつものように自転車に乗り、子供たちが待つ実家へと向かった。その間も
電話を掛けながら。何回掛けたかはわからないが、何とか繋がった。

電話に出た母さんは『マクドナルドに向かって!!』それだけを言い切れてしまっ
た。地震があったとは思えないほど、いつもの帰り道だった。

マクドナルドへと向かい、一足先に着いた私はドリンクを買った。今日の事を
思い返してみても、やっぱり少し大きな地震があったとしか思えなかった。
少し遅れて母さんと子供たちが到着した。ママー!!と駆け寄る子供たち。
大丈夫だった?と聞くと、怖かった!!と答えた。

小学生の長女と次女、教室にいた長女は地震で泣き出した友達をなだめ、帰宅途中
だった次女は友達と一緒に塀や電柱がない場所へと避難したようだ。
みんなと一緒に来た年子の妹、彼女は我が旦那をヒーローと呼んでいた。

一体旦那は何をしたのだろう。話を聞こうとした瞬間、再び余震が。
ガラス張りのマクドナルド、ガラスがピキピキと音を立てている。母さんは
『ここから出よう。』と言った。ガラス張りの店内、割れたら間違いなくケガするだろう。
とりあえずガラスのないレストランへと場所を移した。みんな今のところ事故やケガはないようだ。一安心。

母さんや妹、子供たちか ら話を聞くと、地震の大きさが手に取るようにわかった。
それとともに自分が取った行動の怖さも知る事になった。いつ潰れてもおかしくない店内にて、最後の最後までお客さんに声を掛けていたなんて。
思い出すと恐ろしくなる。
posted by ヒロシッペサンタ at 11:46 | 地震

2014年02月28日

早番の私、勤務時間を終えようとしていた。怒涛の2時間だった。機械にま
みれた部屋にいる旦那を見つけ、子供たちの様子を聞いた。とりあえず3人
とも事故やケガはないようだ。急いで帰らなくては。その日の終礼、社員は
言った『ここから余震が続くと思われます。地震が来たらまず逃げるように
。お客さんの対応は社員がやります。』なにを言っているのだ、真っ先に逃
げたくせに。私の頭の中はその事でいっぱいだった。特に○○、なんと私の
名前を言われた。悪い事をしたつもりもなければ、当たり前の事をしたまで
だ。自分の身よりもお客さんの事を考え なくてはならないだろう。バイト仲
間のスタッフからは賞賛の声を掛けられたが、名誉の為にそうしたのではな
い。むしろ逃げた方がどうなのだ。バイトはともかく社員、こういう時に人
間の本性が見えるのではないか、そう思った。女の子のスタッフは泣き出し
ている子もいたようだ。怖いとかそういう感情は後回しにすべき、この考え
を持つ私は男よりも男らしかった!と
褒め称えられた。でも次からは、普通に逃げるようにしよう。私には子供も
旦那もいるのだから。終礼が終わり、逃げ出したスタッフが地震の時の外の
様子を教えてくれた。大きな街道に面したうちのお店、その街道 は車で溢れ
外の太い支柱がグラグラと揺れていたらしい。なるほど、結構大きな地震だ
ったようだ。タイムカードをきり、母さんの携帯に電話を掛ける。仕事が終
わるといつもそうしているのだ。ところが今日に限って繋がらない。大きな
地震の後だからか。それでもひたすら掛け続けた。ロッカーに行き着替えな
がらも掛けた。
posted by ヒロシッペサンタ at 02:47 | 地震

2014年01月29日

あれほどの死者を出した大きな地震だったなんて、あの時の私は知る由もな
かった。とりあえず、少し大きな地震が来た、それくらいの認識でしかなか
った。慌てるお客さんをなだめ、落ち着いて業務に臨むしかなかった。私に
だって子供がいる、でも仕事中の私にそこまで考える余裕はなかった。

地震発生から1時間も経たずに、店内に旦那の姿が。同じパチンコ屋で働いてい
る旦那と私。私は早番だけど旦那は遅番、まだ出勤時間ではないはず、そう
思った。旦那はデキパキと動き、私の元へと駆け寄って来た。

『子供たちは大丈夫だから。とりあえず実家にいるか ら仕事が終わったら
連絡を取って。』それだけ言うと、再び店内を巡回し出した。

ここでようやく子供たちのことを考えた。今の今まで仕事脳になっていた私。
それにそこまで大きな地震だという認識がなかった。旦那には聞こえないけれど、
ありがとうと呟き仕事に戻った。

続々と遅番が出勤した。天井が割れヒビが入ったコースは、立ち入り禁止の札と
ともにチェーンで塞がれていた。インカムで私を呼ぶ社員の声が、天井の状態を
聞きたいらしい。最後まで店内にいたのが私だと知っていたのだろう。
ヒビ割れが酷い箇所からその状態を教えた。いつもだったらお客さんで溢れているはず
の店内も、数人のお客さんしかいなかった。

ヒビ割れた天井からパチンコ玉がポロポロと落ちている。お店も結構ダメージ
を受けたようだ。
posted by ヒロシッペサンタ at 14:18 | 地震

2013年12月28日

一緒に声掛けしてください、社員にそう言い再び声を掛けた。
お客さんに『だってこの店補償ないだろう?』そう言われた。確かにその通りだった。
組合の通達によって天災の補償は出来ないのだ。お店側の不具合ならともかく
、地震や火事といった天災はいわば不可抗力と言える。

『でも死んでしたら換金出来ないですよ。』そう伝えると渋々非難してくれた。
こうして一人、また一人と外に誘導する事に成功した。

そんな事をしているうちに、私のインカムを聞いたスタッフが次々と戻って来た。
そんなスタッフを見て、非難していたお客さんも店内に戻って来た。余震はあるものの、
みんな帰宅したいのだろう。

戻って来たお客さんが一斉に取った行動、それは呼び出ボタンを押す事だった。
早く玉を流して帰りたい、その心理はみんな一緒のようだ。大当たり中のお客さんも、
確変中のお客さんも全員だ。

地震はあったものの無線機能はやられてはいなかった。インカムでやり取りを
しながら、お客さんの玉を次々に運び流して行く。確変狙いの人も現れると予想
出来た為、そういった遊技台は電源を落とした。社員もバイトも全員揃い、お客
さんが帰る為の玉運びや玉流しをした。

お客さんの中には、旦那や子供に内緒にしているのだろう、大急ぎで帰る人が多く
みられた。あいつの方が呼び出しボタン押したの遅かった、早く流せ、そんな罵声
を浴びながら、それでも順番に流した。あまりにも酷いクレームは社員が対応してくれた。
posted by ヒロシッペサンタ at 04:32 | 地震

2013年10月21日

ようやく地震なんだと気付いた私。店内を見ると、スタッフの姿はどこにも
見当たらない。でもお客さんは数人遊技していた。とりあえず事の重大さが
わからない。でもみんなが逃げているという事は、相当なのだろう。

お客さんに声を掛ける。
『今結構大きな地震があったみたいなので、逃げて頂けますか?』
わかってるよ、そう言われた。それならば早く逃げてくれないだろ
うか。画面を見ると、確変大当たりの真っ最中。なるほど。この大当たりが
終わったら外に出るから、そう言いながら遊技を続けている。

余震が続く店内、天井にヒビが入る音がした。ヒビ割 れた箇所からポロポロと
砂が落ちている。まるでインディージョーンズの映画の洞窟の中にいるようだった。
私はともかく、お客様は非難させないと、その思いでイッパイだった。

片っ端から声を掛けるが、どのお客さんも地震だと知っていて遊戯を続けている
のだ。私一人ではラチがあかない。インカムと呼ばれる無線を使い社員の指
示を仰ごう。地震の前までいたはずの社員の姿も見当たらない。私はインカ
ムを使った

『店内で遊技されているお客様がいらっしゃいます。逃げるようにお願いしたの
ですが遊技を続けられるとの事でした。どうしたら宜しいですか?』すると出口
から社員 が走って来た。『まだ店内にいたのか!?』驚いた表情で私を見ている。
むしろ驚いたのは私の方だ、お客様よりもバイトよりも先に逃げていたのか。
驚いたのとともに愕然とした。とりあえず外に逃げなさい、そう言われたが店内
にはまだお客さんが残っている。
posted by ヒロシッペサンタ at 22:29 | 地震

2013年09月19日

あれから2年、東海沖地震からもう2年。もうというかようやくというか。

2年前のあの日、私は仕事中だった。パチンコ屋で働いてる真っ最中だった。
お昼休憩も終わり、ホールを回ってお客さんの箱を変えたり玉を流したり
、そんな事をやっていた。

ちょうど海物語のコースを歩いている時だった。
ふいに足元がグラッとした。私はそれを立ち眩みか何かだと思いそのままホ
ール回りを続行しようとしていた。

すると遊技していたお客さんが一斉に立ち上がり出口の方へと走って行った。
私はワケがわからない。パチンコというギャンブルで、ストライキでも起こしたのかと
思った。この店出ないんだよ!!そういう内容でのストなのだと。

すると常連のお客さんが『お姉ちゃん何やってんの!逃げなっ!!』もの
凄い形相で言ってきた。それでも私は事の大きさがわからぬまま。いつもは
パチンコ玉が一つでも落ちると文句を言うお客さんも、玉がギッシリと入っ
た自分の箱をひっくり返しながら逃げていた。

見渡すと、ホールのスタッフもみんな出口の方へと向かっている。
走ってはいけないと常日頃から言われているのに、スタッフも皆走っていた。
もしや強盗か何か?そう思う以外になかった。

非常口の看板の留め具が外れ、今にも落ちそうだ。ブラブラと揺れる下を走る人々。
ギューギューになりながら出口を出ようとしている。

4つある出口、どれも人で溢れていた。パチンココーナーもスロットコーナー
も、ガランとしてしまっている。ふと思う、足元が揺れている。

ここで気付いた、地震なんだと。
posted by ヒロシッペサンタ at 11:42 | 地震